• カトリック大阪大司教区 社会活動センター

緊急のお知らせです

今国会で、入管難民法などの改正案が審議されています。これは「育成就労の 在留資格の創設」などと並び、「永住許可制度の適正化」を盛り込んだもので、 後者が成立すれば、永住権を得て日本で生活基盤を築いている人々の在留資格を 取り消すことが可能となります。 
 今や日本は、自国民だけで労働力を賄えない時代に入りました。日本は「移社会」にふさわ しい制度や環境の整備が必要です。「技能実習制度」の破綻の 根本原因は、労働者に対して就労者・生活者としての権利を附与していないこと にあり、その反省に立った制度の見直しが必要です。 
 しかしながら、この度新設されようとする「育成就労」制度も、外国人労働者 の就労先、就労資格の変更の自由を附与したのみで、就労者、生活者の権利を保 障する制度見直しが行われていません。あくまでも労働者の人権保障に適うもの となることを強く要望します。 
 特に問題なのは「永住許可制度の適正化」として、法案は、税や社会保障など の支払いを故意に怠った永住者の在留資格を取り消せるようにする規定を含んで いる点です。納税などの義務は守るべきことですが、法令違反者は、日本人に対 してと同様に行政処分を課すなどして対応すべきことです。恣意的に「永住者」 だけが永住資格を取消されるとすれば、それは「法の下での平等」を謳う日本国 憲法が保障する基本的人権の見地から許されないことです。宣教のために来日し 在留が長く、既に社会に溶け込んでいる外国人司祭・修道者たちや、厳しい審査 を経て永住許可を取得して日本で働き、日本を終の棲家と決めて暮らしている外 国籍住民の権利侵害にあたります。 
私たちが求めるのは、国籍や族にかかわらず、誰もが人間らしく生きる権 利を保障され、皆が安心して安定的に暮らすことができる社会です。「永住資格 取り消し」を制度化し「共生社会」の理念を否定しかねない入管法改正案に強く 反対します。 
                   2024年 5 月 10 日 
                   カトリック大阪高松大司教区 大司教 前田万葉 

Translate »