• カトリック大阪高松大司教区 社会活動センター・シナピス

志葉玲さん講演会を終えて

  • 2024年2月3日

大阪梅田教会社会活動委員会 吉澤 由喜

2月12日、大阪梅田教会社会活動委員会主催の講演会を開催しました。
講師として、フリーランスジャーナリストで、イラクやウクライナ、ガザ地区などの戦地に実際に取材に行かれたことのある志葉玲さんをお迎えしました。

多くの皆さんが、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルのガザ地区への攻撃の悲惨なニュースに心を痛め、一日も早く戦争が終わって欲しいと願っておられると思います。
また、この負の連鎖を終わらせるために一体何ができるのだろうか?と、ご自分に問いかけてきたことと思います。
何かヒントをいただけると考え、戦地でのご自分の体験と戦争に対するご意見を志葉さんにお話をしていただきました。

志葉さんの口からまず出たのは、世界の『分断』ということでした。
世界の主導権を握る大国のリーダーらが、自分たちの都合や利害関係を優先させる好き嫌いから今の戦争は起こってしまっているのだというのです。
ただ、歴史的・民族的背景や国同士の関係性など、色々な状況が複合的に重なり合って戦争に至っているので、一つのテーマにとらわれず、他の問題とどう関わっているのか?ということも私たちは見ていかなければなりません。

志葉さんが取材中に知った、ロシア人の女性と結婚しロシアに暮らしていたウクライナ人の男性が、「ウクライナの為に何かしたいと考え故郷に戻ってきたが、ロシア兵が憎くてたまらない。殺したい気持ちになる」と、志葉さんに話したそうです。
それこそ、その彼の気持ちの中に、分断が起きてしまっています。
愛する奥さん・親愛なる祖国、どちらかを選択しなければいけないとしたら、彼の心に平和な答えがあるのかなと、私は、とても胸が痛くなりました。

また、パレスチナの人々はこれまでもずっと苦しんできており、ガザに対する攻撃も昨年10月に始まったことではないのです。
ガザで暮らす人たちは、子どもが多く、笑顔を絶やさない、愛すべき人達だそうで、日本から取材に来た志葉さんを 『ヤバニー』(アラビア語で日本人)と言って明るく迎え入れてくれたようです。
志葉さんは、2014 年取材に行った時がガザの最悪な状況と感じられていたそうですが、死者やけが人、破壊された建物などの数字からして、今この瞬間の方がはるかに激しく悲惨な状況と言えるそうです。

イスラエルが国際的な人道ルールを無視して、狭い土地の中にいる多くの民間人や国連関係の施設、病院、学校などを無差別的に攻撃している事は、本当に許せません。
今まで、イスラエルの暴走を誰も止めようとしてこなかったのは、国際社会の責任です。
志葉さんも、『国際人道法を守れ!』と強く主張されていました。

最後に、「今こそ、日本国憲法の前文に基づいた平和外交が強く求められている」と締めくくられました。
戦争を放棄した日本こそが、外交政策を見直して、平和な世界を発信していける国であり続けていきたいです。


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