• カトリック大阪高松大司教区 社会活動センター・シナピス

「働くこと」と メンタルヘルス

徳島教会 嘉(よしみ)凜太郎(障がい者委員会)

私は現在、臨床心理士として精神科病院に勤めています。
メンタルヘルスにかかわる疾患や障害は、大まかに「急性期」、「回復期」、「慢性期」という経過をたどっていきます。多くの方は急性期に専門的な治療を受け、回復期になると日常の生活に戻ったり地域での生活を立て直すためのリハビリをしたりします。


回復期において、成人で職に就いている人であれば復職を目指し、新たな職を求める人は就職活動をします。私は復職を目指す方にかかわることが多いのですが、ある程度の休養を経てスムーズに復職する方もあれば、繰り返し休職が必要な方や、復職してから仕事が続かないという方もいます。
働くことが難しい時期が長くなると、他の日常生活にも影響する方もいます。一方で、仕事を変えたり、働き方を変えたりしたことで元気になる人もいます。それだけ、「働くこと」が私たちの生活にとって大きな役割を持っているのかもしれません。


また、働くこととメンタルヘルスの問題は個人に限定されることではなくて、社会構造も大きくかかわっています。労働環境や待遇が整っていなければ、本来私たちの生活にとって大切な「働くこと」自体が苦痛となってしまいます。


先日、私たちに新しい教皇様が与えられ、教皇名が「レオ14世」と発表されました。
以前、教皇名として「レオ」を名乗られた教皇レオ13世は、社会問題を初めて説いた「レールム・ノヴァールム」という回勅を出されました。この回勅では、労働者に関する社会正義について説かれているそうです。またこの回勅は教会が現代社会に対してどのような姿勢を示すのかという、記念碑的な存在だそうです。ここでもやはり、「働くこと」が私たちの生きる世界にとって重要であると感じます。


私たちは「働くこと」を通じて苦痛を感じる時もあれば、喜びを得る時もあります。この世界で生きていくことと密接にかかわっています。

「働くこと」を通して受ける恵みを、多くの人と分かち合っていけたらよいなと思っています。

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