• カトリック大阪高松大司教区 社会活動センター・シナピス

2025年沖縄平和学習に参加して

伊藤 浩子 (宝塚教会)

沖縄といえば、美しい海、首里城、ひめゆりの塔、そして米軍基地があることが思い浮かびます。
恥ずかしながら、私は沖縄の悲しい歴史をあまり詳しくはわかっていませんでした。 平和学習に参加して更に、戦時中、沖縄で起こっていたことについて何も知らなかったことに気付かされ、米軍基地の問題についても自分のこととしては考えていなかったことを思い知らされました。


現地では、同じカトリック信徒の方がガイドとしてツアーに加わってくださり、 行く先々の案内はもちろんのこと、 沖縄の歴史やご自分の体験を通して、 沖縄の一市民としての率直なお考えを分かち合ってくださり、 沖縄の現状も垣間見ることができました。


バスで米軍基地を外から見てまわりました。 基地はフェンスで囲まれていますが、フェンスの先端の「忍び返し」がまるで刑務所の塀のように市民が住んでいる側に傾いていました。 市民側からすれば、ある意味、それは威嚇されているようにも見え、いかにも基地優勢であるのを感じずにはいられませんでした。


2日目に、嘉手納基地に近い道の駅「カデナ」で昼食をとった時のことです。 1時間も滞在していなかった間に、米軍のジェット機が2回騒音をたてて飛んで行きました。 ガイドの方によると、これが日常茶飯事のことだそうです。 一番印象に残っているのは、 ひめゆりの平和祈念資料館を見て、 糸数アブチラガマに実際に入って中を歩いたことです。 真っ暗で懐中電灯なしでは前に進めません。


現在は歩きやすくなっていますが、戦時中はたぶん裸足でゴツゴツした石の上を歩いたに違いありません。 全長約270mの洞窟の中に当時約600人の傷病兵が運び込まれ、 ひめゆり学徒隊の少女たちが世話をしながら、 生活をしたのです。 暗闇の中でいつ終わるかわからない戦いを続けていたのを想像するだけで、胸が痛みました。


沖縄では桜前線は北から南へと移動するそうです。 本州に住んでいると桜前線は南から北へと移動するのが当然と思っていた認識を覆しました。 一つの事象をとっても、自分の立ち位置が違えば、 自分が常識だと思っていたことも違ってくるのです。 お互いの違いを尊重し合うことの大切さを改めて感じました。


毎日ごミサに与り、 ツアーに参加したメンバーとの交流もでき、 平和について考える機会をいただけたことに感謝いたします。


*編集注:アブチラガマ(アブ:深い縦の洞穴、チラ:崖、ガマ:洞窟やくぼみ)

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