芦屋教会 川邨 裕明(かわむら ひろあき)神父
今年も3月に沖縄平和学習を実施しました。戦後80年に当たる年に選んだテーマは、「米軍上陸地点から終焉の地まで、激戦地を巡る」でした。
上陸地点の一つである渡具知(とぐち)公園にある記念碑から旅を始めました。
激戦地はいずれも小高い丘にありました。映画にもなった「ハクソー・リッジ」(浦添大公園・前田高地)から北を望むと、嘉数高台公園から上陸地点が一直線に見えます。 その間を逃げ惑う住民の姿さえ目に浮かぶようです。
沖縄住民の4人に1人が亡くなったことも実感できました。 沖縄戦の終焉の地、戦没者の名前が刻まれた摩文仁の丘で祈りを捧げました。
今年、6月23日、沖縄では慰霊の日を迎えます。 戦後80年ということで、前田万葉大司教、酒井俊弘司教がそろって沖縄を訪問されます。
世界中で同じような激しい戦いが繰り広げられている今日、沖縄の地に立つと、住民が戦いに巻き込まれ犠牲になる戦争の本質が見えてきます。沖縄から平和を訴えることは、大きな意義があります。
大国がエゴをむき出しに、自国の利益確保に走る現状に対して、琉球王朝が示した平和外交は、私たちにとって学ぶべきところがたくさんあります。
琉球の歴史を継承している沖縄、 広大な米軍基地を抱え数々の問題が起きる中、 粘り強く基地問題と向き合う沖縄の現在を学ぶことで、 世界への向き合い方を学ぶことができます。 来年の沖縄平和学習は、 辺野古をはじめ基地問題について学ぶ旅となります。
*阪神地区では、平和月間の取り組みとして、 6月22日14時からカトリック芦屋教会にて、平和学習会を開催します。「戦の少年期」という絵本を通して、 戦争に巻き込まれる人々の日常を学び、沖縄戦下の子どもたちに焦点を当てたDVDを鑑賞し、 今年の沖縄平和学習の旅の報告を行います。