• カトリック大阪高松大司教区 社会活動センター・シナピス

シナピス事務局こぼれ話(2025年5月)

事務局 ビスカルド篤子

4月〇日 マリアランさん、シナピス活動センターで本格始動!

シナピス運営委員のマリアランさんが、毎週木曜日、おもにベトナム人のよろず相談を受けてくれることになりました。 彼女自身のSNSにその案内を配信したところ、 とたんに何件もの相談が毎日のように全国から寄せられるようになりました。

活動センターでは頻繁にスタッフ会議を開いて、 それぞれ関わる人のお話を共有します。あるとき、「埼玉の知りあいの若者が亡くなりました」とマリアランさんから報告がありました。その人は技能実習生で、夜勤明けの帰宅途中、バイクで事故に遭ったそうです。

マリアランさんはベトナムの遺族や所属教会への葬儀の手配などに忙しい様子でした。 「それは労災事故ですね」と私が言うと、マリアランさんは、通勤が労災保険の範囲に入ることを知らなかったといって、急いで関東の知り合いの弁護士につなぎました。

1つの相談にチームで関わると、単独では気づかなかった点が見えたり、手を差し伸べる人が増えたりして、より手厚い助け合いネットワークが広がりますね。

4月11日 祝!家庭を持つ父親に在留特別許可

アッバスさんは難民として日本に保護を求めた人です。 8年前に降り立った関西空港で難民申請をして以来 「迫害の恐れ」 の主張を貫いています。 しかし彼はそのまま長期にわたり入管に収容され、裁判でも闘いましたが敗訴し、出口の見えないトンネルの中に留め置かれたような状況に陥りました。

それでも時は流れます。 8年の間でアッバスさんは良い伴侶に出会い、 家族や友人に祝福されて結婚しました。2024年には赤ちゃんが生まれました。 アッバスさんは入管に何度も在留許可をお願いしましたが、入管の反応は鈍いものでした。

夫が社会から排除されると、妻も子も同じように社会的に排除されます。 「登録上はいない」とされるのに「実態はいる」ので、 市営住宅を申し込めなかったり、 保育所の申請ができなかったり、 いちいち壁にぶち当たるのです。 若く勤労意欲があるのに働けないアッバスさんは家庭人として責任が果たせず鬱々し、 生活に苦しむ一家は妻の老親に支えてもらうしかありませんでした。

この日、 入管に呼ばれたアッバスさんが出頭したところ、 「仮放免を取り消し、あなたに在留許可を与えます」と宣告され、 在留カードが手渡されました。8年半の苦しみから解放された瞬間でした。 その翌日からアッバスさんは精力的に求職活動に打ち込んでいます。

アッバスさんのように、帰国できない事情のある人で、 すでに日本で家庭を持ち地域に定着して生きる人たちは、 とてもたくさんいます。 当事者はもちろん、 妻やこどもたちまでもが社会から疎外されないように、 私たちは日本政府に一日も早い人道的解決をお願いしています。

先月、この欄でご紹介した井上佐治朗さんより電話があり、 「4月16日 寄付振り込みました。ニュース止めて下さい」と言われました。

その2日後に帰天されたとの知らせを受けました。
佐治朗おじさん、長い間ありがとうございました。どうぞ安らかに!

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