シナピスこども基金は、アフガニスタン現地の貧しい家庭に援助金を送りました。
・援助先 :アフガニスタン北カブール、ハイルハナ
・受益者 :パシュトゥン民族およびタジク民族の貧困家庭20世帯へ
・カウンターパート:シナピス・マダール
・支援金 :500,000円
・送金日 :2025年3月11日
《経緯と内容》
アフガニスタンは国連も各国NGOも撤退を余儀なくされ援助活動が困難な状況に陥っています。とくにタリバンから差別されがちなハザラ民族の母子家庭の人は戸外へ出ることもままならず、多くのこどもたちが飢餓に瀕していると言われます。シナピス・マダール代表のハサニ・モハマド・アリさんは、西カブールの貧困地域を一軒一軒訪ね歩き、援助の必要な家庭を見極めて現金を配る活動をしています。シナピスこども基金は、2024年12月に極貧地域のこどもたちへの越冬支援として100万円を送金しました。
そんな2025年の1月、アリさんはタリバンに「お前はハザラ人ばかりを助けている」と咎められ捕まってしまいました。タリバンは、アリさんの携帯電話を取り上げ中身をチェックしました。シナピスに送った援助の動画写真がたくさんありましたが、その中にパシュトゥン民族やタジク民族の家庭の動画も出てきました。それを見てタリバンはアリさんを解放しました。その数枚の動画で彼は命拾いしたのです。この一件があってからアリさんは他の民族の家庭にも援助の手を差し伸べることにしました。自分の身を守るためだけではない、他国の援助が途切れた今、病院も学校も全て失い、民族の別など関係なくもう誰も皆が困っているからです。
2月、アリさんは、パシュトゥン民族やタジク民族の貧困家庭20家族を選び、それぞれの家庭の詳しい状況を動画で送信し、こども基金は援助を決定しました。
《今後の活動》
こども基金は、原則1団体につき3期まで申請が可能です。
シナピス・マダールでは第2期分を半年に分けて援助申請したいと申し出ています。
アリさんはタリバンの目につかないように夜中に移動して村に入り、小回りを利かせて家庭訪問をする方法を取っており、常に危険と隣り合わせなので少額を手にして回るそうです。
また、自分の身に何かが起こったら、こども基金が意向通りに使われなくなる恐れもあるので、必要経費以外は貯めこまないで配り切る方法を取ります。
ところでカブールには標高800メートルほどの山が2つあるそうです。今後アリさんはそのうちの一つ、チンダウールという山岳地域を訪ねる予定です。岩山を掘って穴倉に住む人びとの状況がどんなものか、アリさんからの報告を待つことにしましょう。