• カトリック大阪高松大司教区 社会活動センター・シナピス

原発を必要としない社会の実現を目指して(3)

カトリック六甲教会信徒 古泉 肇

以前、新山口駅のホームに立っていると、「のぞみ」が時速300㎞で通り過ぎていきました。乗車している時には感じませんでしたが、すぐ目の前を「のぞみ」が最高速度で走っているのを見ると、そのスピードに恐怖を感じました。

現在、東京~大阪間を1時間で結ぶリニア新幹線の工事が行われています。

「のぞみ」の2倍の時速600㎞で走るリニアモーターカーの速さは、私たち人間の想像を遥かに超えていると思います。

多額の費用をかけて自然を破壊し、強い電磁波が発生し、東京一極集中をさらに加速させ、地上を超高速で走るリニア新幹線を造る必要があるのでしょうか。

専門的な知識が無い私達でも、違和感があることを理由にリニア建設に反対し続けることは大切だと私は考えています。

私が原発を必要としない社会の実現を目指そうと主張すると必ず、原発賛成派の人から「反原発」のレッテルを貼られます。そして「日本は地震大国で原発を設置するのに適さない」、「原発からでる核廃棄物を10万年間安全に保管する場所が国内にない」と主張しても、科学的根拠のない感情論であると否定されます。

しかしながら、反原発の主張に真摯に向き合わず、「反知性主義」と言って全否定する科学者の方が非科学的であると思います。

また原発賛成派の科学者の中に、実は電力会社の株を持っている人がいたという話も聞いたことがあります。経済力・政治的権力・学問的権威が無くても、私達は「感性」を武器に団結し、原発に反対することが出来るのではないでしょうか。

2024年1月1日に発生した能登半島地震の震源地である珠洲市は、実は以前、原発建設予定地でした。1975年頃、現在の珠洲市に原発建設が計画された後、市民による反対運動が起り2003年に計画が凍結されたのです。

もし珠洲原発が計画通り造られていたら、能登半島地震により福島第一原発事故に匹敵するほどの大事故が発生した可能性がありました。

ところが地震・豪雨・大雪と自然災害が続き被災地の復興が進まない中、原発建設賛成の立場の人からは、「原発を造っていたならインフラ整備も出来たから復興が進んだ」、「過疎の町を発展させるため原発が必要」という趣旨の発言が出ているのです。

被災地の復興、過疎の解消を大義名分として原発建設計画が復活しないとも限りません。原発を必要としない社会の実現に一歩でも近づくために、私は過疎化(それは東京一極集中と表裏一体です)の問題にも取り組むことが大切なのではないかと考えています。

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