頭の柔らかい世代のみなさんが新しい風を吹き込んでくれました!
1月25日 大阪星光学院中学・高校の生徒たち
大阪星光学院の中高生たちがシナピスを訪れました。「難民について知ろう」と、20名ほどの有志が集まってくれたのです。そこで私は皆さんのごく身近な大阪で暮らす難民申請者、ルイスさん(仮称)を紹介しました。
若者たちが世界の難民に出会う時を持つ。 この貴重なひとときに、大人の講釈はいりません。私からは、シナピスに身を寄せる難民たちの大まかな背景だけを説明をして、あとは全てルイスさんにお任せしました。生徒たちはルイスさんの語りに身を乗り出して聞き入り、次々に手を挙げてルイスさんに疑問点を投げかけてゆきました。遠慮なしの直球の質問は、一気にルイスさんと生徒たちとの距離を縮めてゆきました。
実はルイスさんは、祖国では有名なレスリング選手で、民族的差別と迫害がなければオリンピックに出場したはずの人でした。ルイスさんが20代の頃、彼よりも格下の選手がオリンピックに出て入賞したことがあり、ルイスさんは当時の無念さを語りながら、国際大会で手にした数々の金メダルを見せました。生徒たちは群がってメダルを手にしていました。
またルイスさんは、全日本社会人レスリング大会にも毎年出場し、2023年度は銀メダル、2024年度は銅メダルを獲得しました。「今年度の金メダルは25歳の自衛隊の人、銀メダルは25歳の元警察官だった。銅メダルの私は、スポンサーのない34歳でした」とのルイスさんの言葉に、生徒たちは何とも言えない声を出していました。会の最後に生徒たちがルイスさんにタックルを挑みましたが、あっさり押し返され生徒たちは笑い声をあげました。
ルイスさんの言葉を聴き、タックルしたり握手したり、生徒たちが「来てよかった」「僕たちにできることを考えたい」と言ってくれたことが、とても嬉しかったです。
2月15日 京都暁星高等学校の生徒、難民と語る
京都暁星高等学校の生徒が一人、シナピスホームにやってきました。
私たちは難民さんたちが覚えやすいように彼に「ラッくん」とニックネームをつけて、その日のメニュー、アフガニスタン料理を振舞いました。 ラッくんは食後のお茶を飲みながら、付き添いの先生と一緒に難民の人たちと語り合いました。色々話すうちに、ラッくんは「自由」について、難民たちから問いかけられました。
一人の難民に「人間にとって、自由がいかに大切か。全ての自由が保障される日本にいたらあまりわからないでしょう」と問われたラッくんは、「はい、あまり意識したことないです」。
難民たちは「自由を奪われた社会」がどんなものか、それぞれの経験を語りました。特にアフガニスタンの女性の証言は先生とラッくんに衝撃を与えたようです。
「道で自爆テロが起こり、人びとが怪我人を助け出そうと現場に集まると、2度目の自爆テロが起こり、更に犠牲者が増えた。人の肉片が飛び散った」、「タリバンが支配してからは、女子は学校に行けなくなった。男性家族を伴わずに外出したら罰せられる」、「金の腕輪をしていた赤ちゃんが道で腕ごと切り落とされて持ってゆかれた」・・・彼女は泣きながら、無法で無秩序な自国での生々しい体験を語りました。
時間を忘れてラッくんは、その言葉にじっと聴き入っていました。
帰る時間になり、ラッくんと先生が荷物を担ぐと難民たちが「いつかまた来てくださいね」と言いました。
「はい!」ラッくんの決意ある返事は私たちにまっすぐ響きました。
♪ シナピス発「ゆるゆる茶話会」はじめました ♪
学校や職場とは異なる場所で人に出会い、お茶を飲みながら「ちょっともやもやした思い」を語り合う。そんな、ゆる~い茶話会をシナピス発でやることにしました。
発端は「社会のできごとって、意外に身近な友達や職場の同僚とは話題にできないところがある。遠慮せずに語りあえるような仲間がいるといい」との若者たちの声を聞いたことでした。「それならあまり縛りのないゆるい茶話会でもやる?」ともちかけてみました。
どんな会にする?誰が音頭とる?どれくらいの頻度で集まる?リモートじゃなくて対面原則で?・・・と、あれこれ意見を聞いたら、こんなふうにまとまりました。
*社会活動センター・シナピスを交流の場に
*シナピスのモットー「谷間に置かれた人びとの心を生きる」を中心に据えて
*特にテーマも何も決めない。敷居をつくらない
とりあえず、言い出しっぺの数人が、それぞれ声をかけあって2月9日に集まることにしました。
急なよびかけでしたが、その日には9名が集まりました。
年齢層は、20代3名、30代2名、40代1名、60代2名、70代1名。 学生、公務員、フリーランス、主婦、と、背景も様ざま。
「じゃ、とりあえず自己紹介から」と会を始めると、自己紹介を一巡しただけで一気に対話が進んだの
です。
「私の両親は中国籍」、「私は在日4世」、「私の娘はチャイニーズアメリカンの人と結婚して」、「私はペルー人で日本国籍取得」…10人足らずの会なのに、海外に縁がある人が半数以上で、話は自然に「アイデンティティ」について絞られていきました。
自身が2世だったり4世だったり、国籍も多様で、茶話会は大いに盛り上がり、あっという間に時間が過ぎてゆきました。
参加者のお一人、絹川誠さんが感想を寄せてくださいましたので、詳しくはシナピスニュース2025年3月号をごらんください。
この「ゆるゆる茶話会」、当面は月イチぐらいで開く予定です。
次回は3月2日(日)15時~17時です。場所は社会活動センター・シナピスにて。(大阪府大阪市中央区玉造2-24‐22)
会場準備の都合がありますので、参加ご希望の方はシナピス事務局までご一報よろしく!