障がい者委員 吉川 康夫
それは、障害を持つ人が、障害を持たない人と同等の機会を得るために、事業者が提供しなければならない対策や設備のことです。
これらの具体的な対策や設備の提供は、2024年今年4月1日から努力義務ではなく、義務とされています。
(参考)「合理的配慮」の英語は“Reasonable Accommodation”です。
「納得できるお互いの調整」と訳すと分かり易いです。「無理をしなくてよい
のなら、やらなくてもよい」ということにはならないのです。
(シナピス10月号の補足説明)②
内閣府のパンフレットから ● 「合理的配慮」には対話が重要です! |
事例:「合理的配慮」を求めた当事者が、あたかもクレーマーのように扱われてしまうケースを耳にします。詳しく聞いてみると、そこに小さな誤解がたくさんあることが分かりました。
例えば、「聖堂内にあるヒアリングループ(磁気ループ)や、専用レシーバーで聞く赤外線やFMの補聴装置に不具合があるのでは」、という訴えに対して「問題はない」という回答です。多くの人が気にならない小さな雑音が、難聴者には大きな妨げになっていることも多いのです。せっかく良い設備を設置しても、長年使っているとほこりが溜まり雑音が発生する様になりました。⇒話し合いを重ね、解決に向かっています。
考察:「対話」とは、何でしょうか。聴くことが大切!
当事者研究をされている熊谷晋一郎氏は「双方向の情報保障」の大切さを訴えられています。自分の話ばかりしゃべらないで個人的見解は控え、まず当事者の話を聞いてください。障害を持つ人に対して「わがままだ」、「常識を知らない」、「ルールを守らない」という言葉を耳にすることがあります。当事者の多くは、知らない、知らされていないということがあります。疑問に思ったことを聞く。質問し質問に応える。分からないことは置いておかないで、尋ねる。
互いが誠意をもってやり取りすることが“シノダリティー”でしょう。
実行:「対話」とは、何でしょうか。まず、声をあげよう!
法律では、「障害のある人から申出があった場合に・・・」とあります。「合理的配慮の提供」を求めることをためらわずに声を上げましょう。長い間、何度も何度も声を上げても聞き入れてもらえなかった辛い経験のために、我慢することが良いと思っているかもしれません。
しかし、イエスさんが言われるように、一緒に“戸を叩き”つづけましょう。
内閣府政策統括官(共生・共助担当)付障害者施策担当