• カトリック大阪高松大司教区 社会活動センター・シナピス

東アジアで戦争を呼ぶのは誰だ!!(1)

  • 2024年11月26日

大森雄二

10月5日の集会会場には、「東アジアで戦争を呼ぶのは誰だ!!」と標記のタイトルを墨で記した大きな横断幕が掲げてありました。

「日米の『対中国戦争態勢』とは何か―東アジアでの戦争を止めるために―」(主催:南京大虐殺60ヵ年・大阪実行委員会)と題された集会で、愛媛県今治市在住の講師、高井弘之さん(ノーモア沖縄戦 えひめの会)の語りは明快そのものでした。

南西諸島から沖縄・奄美まで、対艦ミサイル部隊と弾薬庫を核とする自衛隊基地の建設が進んだ流れは、今や、九州全域(大分:湯布院、宮崎:えびの市、鹿児島:さつま町、熊本:健軍)から西日本まで拡大しつつあるとのこと。

広島県呉市の海上自衛隊基地には、沖縄に部隊や物資を輸送する新部隊の設置が予定され、さらに、兵器の整備・生産機能を持つ大規模な軍事拠点の建設構想もあるそうです。

21年末に策定された「日米共同作戦計画」では、琉球(りゅうきゅう)()(九州の南端から台湾に至るまでの島々の総称)を転戦しながら、中国軍を攻撃する作戦が明らかとなり、それに基づく戦闘訓練として、日米に、英・仏・蘭・独まで加えた合同演習を、毎年、規模を拡大しながら実施しているのが現実です。島々を転戦する意味は、中国軍の反撃を想定してのことで、住民を犠牲にする「捨て石」作戦であるのは明らかです。

それでは、中国は本当に台湾に武力侵攻するのか。高井さんの答えはノーです。1989年の天安門事件以降、国民の様々な不満・批判がありながら、統治の安定が保たれたのは、経済が発展し、「生活の豊かさ」を国民が実感できたから。輸出入に依存する経済のためには、

「平和的な国際環境作り」が大切と、共産党自身が戦略目標として掲げている中、武力侵攻によって、その環境を壊して、自らを不安定化するとは思えないとのこと。

さらにもう一歩進んで、「台湾有事」が現実化したとして、それが「日本有事」につながるか。これに関しても高井さんはノーと答えます。台湾に近いから、これが理由にならないのは明らかです。では「台湾有事」の際、日本を攻撃して日米との戦争の道を中国が選択するか。台湾統一さえ危ぶまれる状況を中国自らが作り出すとは考え難いと答えます。

ではなぜ、最初に述べたような軍備の増強が必要なのか?そこにはアメリカの強い意志があると高井さんは考えます。経済・軍事面で台頭する中国を、世界における自らの支配的な地位を脅かす国としてアメリカは意識し、中国を封じ込め、弱体化させる対決路線へと舵を切ったわけです。(続く)

Translate »