• カトリック大阪高松大司教区 社会活動センター・シナピス

ガザ絶滅の前に「停戦」を!(2024年10月18日、19日)

  • 2024年10月18日

カトリック夙川教会 西口信幸

「絶望の海の中」に希望が見えるのでは、と期待したのが錯覚だったかのように、10月に入り、もっと悲惨で厳しい現実が見えてきました。「ガザの完全イスラエル化」に向けて計画が実施されつつあるようです。
報道されないまま、静かにおこなわれつつあるガザの民族浄化の動きをお伝えして、この事態に私たちキリスト者がどんな姿勢でいるのか、ともに考えたいと願っています。
また、ヨルダン川西岸、レバノンでも同じようなことが起きていますが、ここで触れることができません。
ともに今日一日が平和であるよう祈ります。
「ガザの歴史」、この1年に起きたこと、などは、後述の資料をご覧ください。

イスラエル軍によるガザ市民の大量虐殺、町の破壊が始まって1年が経ちました。
ほとんどの町が焦土と化し、残った狭い場所でひしめく避難所への攻撃も止まらず、支援ルートも絶たれ、逃げることもできないガザの人たちは死と向かい合わせで暮らしています。
一日一日を「明日こそ停戦」と思うことで、絶望の中でも希望を持ち続けながら生き残った人々の心の糸が切れようとしています。

報道の関心がレバノンに向かう中で、ガザ北部では都市の殲滅が密かに進みつつあります。
地域を包囲して爆撃をおこない、外に出る人にはドローン、狙撃、戦車が待ち受けています。
避難民となり北部にもどってきた40万人に3度目の退避命令が出ましたが、これはむしろ「強制移動」命令であり、1週間の猶予を与えた後、ガザ市を含むガザ北部を「全面的に軍事封鎖」するという2段階計画、「ガザ北部が地図から消し去られつつある」ほど「残虐行為の恐ろしいレベル」にまでエスカレートしています。
10月に入って2週間で350人以上が殺されました。
北部への食糧は阻止され、食糧も底をつく中で餓死するか、出ていって殺されるか、選択を迫られる中、南部のキャンプの悲惨な実情を知る人たちの多くは閉じ籠っているそうです。
16日にアメリカの勧告が出て、援助物資を積んだトラック50台がエレズ検問所から入りましたが、包囲地域には届かなかったとの報告です。
檻に閉じ込めた家畜をゲームのように殺すのを私たちは今なお黙って見ています。

  私たちは逃げることを拒否する。死は死だ。
  ここで死のうが別の場所で死のうが同じだ。
  だから我が家で尊厳を持って死ぬつもりだ。

*写真は上から「40万人の大避難」「ガザ北部の包囲網」「ガザの子どもたち」

南部でも、6000人が身を寄せていた、ポリオ接種会場となるはずの学校など、病院、キャンプの攻撃が日常化しています。
10月14日の病院爆撃では4人が生きたまま焼き殺される動画がSNSで流れ、家族が見守る、痛ましい姿が映し出されました。
それでもテレビは「ハマスの基地となっている病院へのイスラエルの軍事作戦により、数人の死者が出た。」としか報じていません。
強制的に移動させられた170万人の避難民であふれかえる「人道エリア」ガザ南部の極度の過密状態(日本の人口密度の30倍)で「致死的な感染症が広まる危険性が高い」と、武器を供与しているアメリカが指摘しているほど、危機的な状況です。

*写真は上から「ガザ南部『人道エリア』」「アル・マワシ超過密難民キャンプ」「生きながら焼かれる青年」

冬の到来までに「ガザ全域であらゆるかたちの人道支援を急増」させなければ餓死、感染病死で子ども、病者、障がい者、妊婦と弱い人から死滅していくことになるでしょう。
1日も早く、1日最低350台のトラックがガザ地区内に入れること、超過密「人道エリア」にいる人々が自由に外に出るようになること、人道支援が自由に安全に行えるようになることのため、「停戦」そしてイスラエル軍の「撤兵」しかありません。
国連機関、国際NGOはいつでも支援に向かえるよう、待機しています。

イスラエルの人権団体は14日に、「イスラエル軍が『将軍たちの計画』を静かに実行に移しつつあることを示す憂慮すべき兆候」があると警告しています。
この計画は、ガザ北部のすべての民間人を強制的に移送し、残っているハマス戦闘員を包囲し、降伏とイスラエル人人質の解放を迫るというものです。
北部地域が絶滅して人の住めない廃墟になることは予想されます。
NHKの報道では、アブラエーシュ博士の映画、「If I must die」の詩など、綺麗な悲劇として1年を締めくくるような報道が続いています。   
終わっていません!!!

ずっと生き地獄の中で人々は希望を捨てそうになりながら、それでも私たちが救いのための行動を取るのを待っていてくれています。私たちには諦めることは許されていません。
私たち市民が大事にしなければならないのは、すべての人の命、子どもの未来の平和です。
国家の権力が語る報道から一歩離れて、市民の声に耳を傾けましょう。

声を出しましょう。祈りましょう。支援しましょう。

【参考】
◎パレスチナの歴史と背景 池田教会平和旬間(資料請求はシナピスまで)
◎この一年ガザで起きたこと 夙川教会学習会(月報11月号)
 https://www.youtube.com/watch?v=BzEAVQ_WOX8
◎今わたしたちにできること
 Olive Journal | 市民がつくるパレスチナ情報サイト
 https://olivejournal.studio.site/
 シナピスニュース Vol.100

☆以下は、10月19日に更新したものです。

【緊急速報】 ガザ北部ジャバリヤで侵攻か?

カトリック夙川教会 西口信幸

先の【速報】を出した後、現地の報道からの情報が入らなくなりましたが、今日に入って個人の
SNSに悲鳴のようなやりとりが出てきています。
北部ジャバリヤは最大の難民キャンプのある場所、元は40万人の人が住んでいました。封鎖され
た後、インフラが切断され、4つのキャンプと残っている3つの病院が侵攻を受けています。
南部に逃れた人も若者は射殺されているとの情報も、動けない傷病者や残っている人たちには
壮絶な攻撃が行われているでしょう。
たった今届いた一つのSNSを紹介します。日本のSNSではないので、拙訳で申し訳ありません。
ガザで起きているかも知れないことに思いを馳せてお祈りください。

昨日から、ガザ北部の友人と連絡を取ろうとしているが、電波が届かない。
数分前、彼からこんなメッセージが届いた:

「私の家族全員が南部にいる。
家族全員をあなたに託したいので、一緒にいてほしい。
私は間違いなく、間違いなく死ぬ-今か、今から1時間後か、あるいはもっと後か。
私は街路の死体の間を走り、あえいでいる。
爆撃はいたるところで起きている。
他の友人たちは、家族とともに占領軍に逮捕された。その後、彼らとは連絡が取れなくなった。
私のために祈ってください。」

いま書かせているのは私の涙であって、私の愚かな手ではない。
生涯の友であり、最愛の人の遺書を、どうして読むことができようか。
この苦悩を目の当たりにして、どうして一言も友人を慰めることさえできないのだろう。
私の目から溢れ出るこの涙をどうすればいいのだろう?
この涙で何かを取り戻すことができるのだろうか?
神よ、神よ、私たちをあなたのもとにお連れください。
神よ、私たちをあなたのもとへ連れていってください。

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