シナピス ビスカルド篤子
8月〇日 ボランティアさんが難民申請者の道を切り拓く
定年退職したアンさんは、時間のある時にシナピスへボランティアに来てくださいます。彼女は英語が得意なので私たちはとても助かっています。
アンさんがボランティアを始めて間もない頃でした。ちょうど英語しか通じない難民申請者Iさんを支援していたので、私はアンさんにIさんの対応をお願いしました。アンさんはIさんが癖のない英語を使うのとIさんの人柄そのものを見て、彼女のために英語を武器にした職を探し始めました。私の経験からすると、差別されがちな黒人女性が英語で職を得るのはかなり困難に思われましたので、静かに見守っていました。
ところがなんと! アンさんは現役時代に培った経験と人脈を生かして見事に英語を使う企業にIさんを就職させたのです。そればかりではなく、有効期間6か月の不安定なビザから、「技術・人文知識・国際業務」(1年)という在留資格への変更まで成し遂げたのでした。安定した地位を得たIさんは、落ち着いて難民申請の準備を進めつつ、既にシェルターを出て一人暮らしを始めています。
ブラボー、アンさん! 一人の難民女性を救ってくださってありがとう。
9月18日 「怒りを抑えられない老害問題」と International Day
International Dayの行事の打ち合わせ日。毎年のことですが、今年も同じメンツが集まると、行事準備そっちのけで話がどんどん横道に逸れていきました。今回は「怒りを抑えられない老害問題」に話が脱線しました。本部総括の伊原さんが、「布施でバイク乗っとったら後ろから煽ってくる車あってな、横道に譲ったのに妨害してきよって」と話し始め、伊原さんのあまりの臨場感あふれる語り口に、思わず私たちは身を乗り出して聞き入りました。
「煽り運転した奴が幅寄せして俺のバイクの進行妨げて、車おりてガーガー怒鳴り散らしてきよってな、違反運転してたんは明らかにそいつで、布施駅近くで大勢の人が見てる前やのに何をアホなこと、と思ってたんや。俺が落ち着いてヘルメット外したら、相手がいきなり殴りかかってきたんで、こっちも頭に血が上ってえらいもみ合いになった、その時や。一人のおばちゃんが割って入って、俺よりカラのデカい相手の男にしがみついたんや。いや、70後半ぐらいの人やった。ほんで言われた。“あんたらそんな喧嘩ばっかりしてるから世界に戦争がなくならへんねん!”て。
そン時、俺、血が耳から下へ、サーッっと引いた。相手もそう。一気に2人のテンション下がった。世界平和のため、て、おばちゃん身を投げ出して、やで。世界の戦争、全部こっから始まってるやんか、て。おばちゃんの勇気に感動してな。ただ一つ悔やまれるのは、そのおばちゃんにお礼を言い忘れたことやったな」
世界の戦争は拳を挙げるところから始まり、言葉を使って丸腰で相手の懐に入る人が戦争を止める。すごない?すごない? 本日の会議の本題は、そう、Happy International Day!